地震の種類
どの地殻構造で起こるかにより地震は3種類+1種類に分けられる。
   
Wikipedia「地震」から引用                「ニューステージ地学図表」から引用

1:プレート境界型地震 (またはプレート間地震、海溝型地震)
  プレート境界型地震とは
プレート同士の境界部分で発生する地震。
海溝で起こるものが多いため海溝型地震とも呼ばれるが、海溝よりも浅いトラフで起こるものも含まれ、また後述の通りその他の場所で起こるものも多数ある。
さらにの次の4つに細分される。
 ①海溝型地震 ②衝突型境界で起こる地震 ③発散型境界で起こる地震 ④トランスフォーム断層で起こる地震

プレート境界型地震の種類
①海溝型地震
海溝やトラフでは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、両者の境界が応力により歪みを受け、ばねのように弾性力を蓄え、やがてそれが跳ね返る時に地震が起こると考えられている。
          
「ニューステージ地学図表」から引用 
これを海溝型地震と呼んでいるが、1923年の関東地震や想定される南関東直下地震のように、海溝から離れた深いところにまで震源域は広がっている。
跳ね返りで発生するといっても、実際は2つの地盤の面(プレート境界面)がずれる断層運動によって起こるものである。
海溝型地震は、海溝よりも大陸プレート寄りの部分で発生する。
1つの細長い海溝の中では、いくつかの領域に分かれて別々に大地震が発生する。
地震の規模はM7~8と大きくなることがままあり、稀に複数の領域が同時に動いて後述のようにM9を超える超巨大地震となるケースもある。
1つの領域では、およそ数十~数百年ほどの周期で大地震が繰り返し発生する。
規模が大きい海溝型地震が海洋の下で発生した場合、津波が発生することがある。
震源断層は海洋プレートと大陸プレートの境界そのものである。震源域が広く規模が大きいため、被害が広範囲にわたることがある。
さらに、プレート境界のうち海溝寄りの浅い領域ではしばしば津波地震が発生する。
このタイプの地震では発生する地震動自体が小さいにもかかわらず大きな津波が発生することから、地震発生直後の避難が難しく被害が拡大する恐れがあるものである。 

②衝突型境界で起こる地震
衝突型境界では、プレート同士が激しく衝突し合い、境界部分では強い圧縮の力が働いて地震が発生する。
強い力によってプレートが砕け、その破片同士がずれたり、付加体がずれたりして地震が起こる。 

③発散型境界で起こる地震
発散型境界でも、マグマの上昇やプレートの軋みなどによって地震が発生する。
主に、海洋中央部の海嶺で発生し、地震の規模はそれほど大きくない。


④トランスフォーム断層で起こる地震
トランスフォーム断層では、プレートのすれ違いによって地震が発生する。
断層のタイプは横ずれ断層型となる。 



2:大陸プレート内地震 (内陸地殻内地震、断層型地震)
  大陸プレート内地震とは
大陸プレートの内部や表層部で発生する地震。
大陸プレートの内部で発生する地震は、活断層によって引き起こされる。
海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百km離れた部分まで含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及ぶ。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、プレートの表層部ではあちこちでひび割れができる。このひび割れが断層である。
活断層の両側の岩盤は、年数mm以下の非常にゆっくりとした速さでずれており、長い年月を経て活断層の付近の岩盤にはひずみがたまる。
そして、それが限界に達すると、両側の岩盤は急激にずれ、地震を起こす。
地震を起こした後、活断層は再び静まりかえり、次の地震のためのエネルギー(ひずみ)を蓄え始め、数百年後以降に再び地震を起こす。

大陸プレート内地震の特徴
地震の規模
活断層の大きさによるが、多くの断層はM6~7、大きいものではM8に達する
海溝型地震と同じように、長い断層はいくつかの領域に分かれ、別々に活動する。
同一の活断層での大きな地震の発生は、数百年から数十万年に1回の頻度とされている。
都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがあるが、大きな揺れに見舞われる範囲は海溝型地震と比べると狭い領域に限られる。
初期微動を検知するという原理上、ごく浅い場所で発生したものは緊急地震速報が間に合わないこともある。

直下型地震
内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、直下型地震とも呼ぶが、関東地震のように陸地の直下を震源とする海溝型地震もあるため、それと区別する意味で「陸域の浅い場所を震源とする地震」のような言い方もされる。


3:海洋プレート内地震 (スラブ内地震、プレート内地震、深発地震)
  海洋プレート内地震とは
海洋プレートで発生する地震、
単にプレート内地震と呼ぶときはほとんどの場合このタイプを指し、大陸プレート内地震は含まれない。

「ニューステージ地学図表」から引用
海洋プレート内地震の種類
①沈み込んだ海洋プレート内で起こる地震
溝を経て大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートは、マントルの中を沈み込んでいる途中で割れたり、地下深部でスタグナントスラブとなって大きく反り返って割れたりして、地震を発生させることがある。
海洋プレートが沈み込んだ部分であるスラブ(板=プレート)の中で発生するので、スラブ内地震と呼ばれる。
また、震源が深いことから深発地震とも呼ばれる。
一般に震源が深く、したがって震源と震央の距離は長い場合が多いにもかかわらず、規模が大きなものは被害としては侮れない。
また深い分、広範で最大震度に近い揺れに見舞われることにもなる。
地震波の伝わりやすさは、プレートの位置関係やマントルの深さなどでそれぞれ異なるため、震源から離れた場所で揺れが大きくなる異常震域が発生しやすいのも特徴である。

「ニューステージ地学図表」から引用
②これから沈み込む海洋プレート内で起こる地震
海洋プレートが陸地側に潜り込んだ歪みを解消するため陸地側プレートが反発した時に、プレート境界型地震が起こる。
歪みはこれから沈み込む海洋プレート側(海溝よりも更に沖側)にもたまっており、海底が隆起している場合がある(アウターライズ・海溝上縁隆起帯)。
この歪みはプレート境界型地震の発生によって解消されるとは限らず、プレート境界型地震の前後などに、解消されなかった歪みによってずれや割れが生じ、地震を発生させることがある。
アウターライズ(海溝上縁隆起帯)で発生するため、主にアウターライズ地震と呼称される(なお、こちらもスラブ内地震とする場合がある)。
一般に反り返った先のもっとも高い(浅い)場所が張力を受けて破壊される正断層型の地震が多い。
これとは逆に震源が深い場合は圧力が働き逆断層型となる。
遠方の海域で発生するため、陸地において地震の揺れそのものによる被害は少ないことがほとんどであるが、1933年3月の昭和三陸地震や2007年1月の千島列島沖の地震のようにM8を超える地震がしばしば発生し、海溝型地震に匹敵する津波災害を引き起こすことがある。
このため、津波地震と同様に地震発生直後の避難が遅れて被害が拡大する恐れがある。
また、大きなプレート境界型地震の後に発生する場合もあることから警戒を要するものである。


4:火山性地震
      火山性地震とは
火山の近くで発生する、震源の深さが10km以浅の地震と定義される。

海溝の周辺の火山弧、ホットスポット、海嶺、ホットプリュームの噴出地域では、マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生する。
火山性地震は断層の動きだけでは説明できない部分があるので、上記の3分類とは分けて考えることが多い。

地震動も上記の地震とは異なる場合がある。火山性地震は地震動の性質から2つのタイプに分けられる。
P波とS波が明瞭で、一般的な断層破壊による地震と大差がないA型地震、および紡錘型の波形を持つB型地震である。
B型地震はさらに周期の違いによってBL型地震とBH型地震に分けられる。広義では火山性微動も地震に含む。
また、火道の圧縮やマグマの爆発・爆縮によって、一般的な断層破壊では見られない特殊な発震機構(メカニズム)を持つ地震も起こりうる。
  

火山性地震のメカニズム
火山周辺の地下には、マグマの通り道となるところがある。
この通り道は比較的頑丈で、普段は崩れたりすることはほとんどない。
しかし、マグマが上昇してくると、圧力がかかる上に温度も上昇する。
特に地上に近いほど、地下にも水分が含まれており、マグマで熱せられた水分が蒸発して体積が数千倍に増し、圧力も一気に高まる。
すると、圧力に耐え切れなくなったマグマの通り道では岩盤が割れて地震が発生する。
また、マグマによって圧力が高まった後、マグマが通り過ぎたことで圧力が下がり、押さえつけられていた岩盤が崩れることによっても地震が発生する。
マグマの移動は噴火に関係なく起こりうるが、火山の噴火が迫っている可能性もある。
そのため、マグマの移動を火山性地震の観測によって捉え、その火山の火山性地震と噴火のパターンを研究し、噴火予知に生かしている。
日本では、数十の活動的な火山に地震計をはじめとした計器や観測所が設置され、気象庁の火山情報などで警報体制が構築されている。
火山性地震は一般的に規模が小さく、無感(震度1より小さい)地震となることが多い。
また、地震の周期も多種多様である。火山の周辺では周期別にいくつかの種類の精密な地震計を設置して観測を行う。

火山政地震の種類
A型地震
10km以浅の中で比較的深いところで発生する。
地震の波形は最初の波が一番大きくて次第に小さくなり、ほぼ三角形となる。
P波とS波の区別がしやすい。
震動の周期は短い傾向にある。

B型地震
多くが震源は1kmより浅く、非常に浅いところで発生する。
地震の波形は一定のリズムで大小を繰り返すような紡錘形となる。
P波とS波の区別がしにくい。
震動の周期は長い傾向にある。

爆発地震 (D型地震、噴火地震)
地震の波形は最初の波から急激に大きくなってその後大小を繰り返しながら次第に小さくなり、紡錘形に近い三角形となる。震動の周期がほぼ一定となる。

T型地震 (N型地震)
はじめは周期が短く、だんだんと周期が長くなるとともに周期が一定して長時間継続する。
安山岩質の火山に多い。

深部低周波地震
比較的深いところを震源とする。地震の波形は、周波数の低い波を含む波形となる。



参考資料
  「岩波地球科学選書 地震の物理」 (岩波書店、1991 金森博雄)
「地震学 第3版」 (共立出版、2001 宇津徳治)
「詳しい地学の新研究」 (洛陽社 2003)
「ニューステージ地学図表」 (浜島書店 2003)

Wikipedia 「地震学」 「火山性地震」
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地震の原因と種類 米子(西伯耆)・山陰の古代史
地震は、断層と呼ばれる地下の岩盤のずれが動くことで発生する。
断層のずれによって生じた振動は、地震波となって地中を伝わり、人間が生活している地表でも振動(地震動)が引き起こされる。
地震の際に動く断層は1つとは限らず、大きな地震では震源に近い別の断層(共役断層)が同時に動くこともある。
火山活動に伴う地震を火山性地震と呼ぶが、これには断層と関係が無いものも多く通常の地震とは分けて考えることが多い。
 
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