米子市周辺における放射線測定値  2011年7月

このたびの東北関東大震災により,甚大な被害を受けられた全ての皆様に,心よりお見舞い申し上げます。
また被災地において,懸命に救援活動にあたっておられる関係の皆様に感謝と敬意を表します。


黒字=鳥取県米子市  緑字=近隣市町村   赤字=鳥取県外
2011年 7月 (β・γ・X線計測値)
各地での測定結果(7月1日から7月31日)
  各地の測定値 

日 時 測定場所 周囲の施設等名称 補 足   測定値
(μSv/h)
7月1日  鳥取県米子市上福原3丁目 やお歯科クリニック駐車場    0.08
7月3日 鳥取県西伯郡大山町 中ノ原 標高800m   0.13
鳥取県西伯郡伯耆町 桝水高原 標高800m 0.12
7月5日 鳥取県米子市両三柳3192−14 鳥取県立武道館 0.11
7月6日  鳥取県米子市両三柳 弓ヶ浜公園 0.10
7月7日  鳥取県西伯郡日吉津村  日野川河川敷 0.13
  鳥取県東伯郡琴浦町別所255 道の駅 ポート赤崎   0.09
  鳥取県東伯郡琴浦町由良宿1458  台場公園駐車場    0.10
  鳥取県倉吉市国府 伯耆国国庁   0.08
鳥取県倉吉市駄経寺町212 鳥取県立倉吉未来中心   0.10
鳥取県倉吉市国分寺426 国庁裏神社境内    0.11
  鳥取県東伯郡三朝町 三朝温泉 ラジウム温泉 0.10
  鳥取県東伯郡三朝町人形峠 人形峠環境技術センター前 0.11
  岡山県真庭市 津黒高原 0.10
  岡山県真庭市 蒜山高原  0.11
7月10日 鳥取県西伯郡溝口町 0.12
7月14日 鳥取県米子市朝日町30 朝日町通り 0.11
7月17日 鳥取県倉吉市 倉吉武道館駐車場 0.10
  岡山県 恩原高原   0.12
  鳥取県鳥取市佐治村栃原 辰巳峠  0.10
鳥取県鳥取市佐治村高山1071-1 さじアストロパーク 0.08
  鳥取県鳥取市佐治村加勢木 佐治村役場前   0.09
7月18日 鳥取県鳥取市用瀬町 流し雛の館 0.11
  鳥取県鳥取市布施 布施運動公園駐車場   0.10
  鳥取県鳥取市湖山 鳥取大学前   0.10
  鳥取県鳥取市白兎 白兎海岸 0.09
  鳥取県  浜村 浜村海岸 0.09
  鳥取県 青谷   0.11
  鳥取県東伯郡湯梨浜町宇野2343 道の駅 はわい 駐車場 植え込み 0.09
7月31日 鳥取県米子市皆生 皆生海岸砂浜 0.11




7月の放射線量
  月間累積線量

日 時 DP802i
での測定 (μSvh)
  
PDM−117
での測定
  
累積(μSv)  1日量(μSv) 累積(μSv) 1日量(μSv) 
7月1日  2.6
7月2日 2.6 2.6
7月3日 5.2 2.8
7月4日  8.0 2.7
7月5日 10.7 2.5
7月6日 13.1 2.4
7月7日 15.8 2.6
7月8日  18.4 2.6
7月9日 21.0 2.4
7月10日 23.6 2.7
7月11日 26.3 2.8 11
7月12日 29.1 2.6 11  1
7月13日 31.7 2.7 12
7月14日 34.4 2.7 13
7月15日 37.1 2.7 14
7月16日 39.8 2.8 15
7月17日 42.6 2.6 16
7月18日  45.2 2.6 17
7月19日  47.8 2.6 18
7月20日 50.4 2.7 20
7月21日  53.1 2.5 21
7月22日  55.6 2.7 22
7月23日  58.3 2.6 22
7月24日 60.9 2.8 24
7月25日   63.7 2.7 25
7月26日 66.4 2.7 26
7月27日 69.1  2.7 27
7月28日 71.6 2.6 28
7月29日 74.2 2.7 30
7月30日 76.9 2.7 31
7月31日 79.6 2.6 32


米子周辺各場所の平均線量 DP 802i測定値
(μSv)
PDM−117
測定値(μSv)
  
 1ヶ月の累積線量(μSv) 79.6 32
 1日平均線量  (μSv/日) 2.6
 1時間平均線量 (μSv/時) 0.11 0.04


測定結果
日によって若干の変動はあるものの、6月と同様に1日平均線量は2.6(μSv/d)、時間あたりの平均線量は0.11(μSv/h)であった。


特記事項
  大山の放射線量
高度による放射線量の変化
高度が高くなると宇宙からの放射線は空気という遮蔽物が減るために、1500mごとに約2倍になる。
国際線のジェット機では国内線より長時間高高度を飛行するために比較的強く放射を受ける。
通常の飛行高度は1万m程度なので、これらの値から計算してみれば、地上の約100−150倍もの放射線量に被曝することになる。

  海水面      0m    0.03μSv/h
  高度     2000m    0.10μSv/h
          4000m    0.20μSv/h
         12000m    5.0μSv/h
         20000m   13.0μSv/h

例えば東京〜ニューヨーク間の往復では0.19ミリシーベルト多く放射線を受ける
普通に生活していても、自然界から1年に2.4ミリシーベルト(世界平均)の放射線を受けており、海外旅行で余計に受ける程度の放射線では健康上問題はないとされている。

大山スキー場付近での放射線量
上記を踏まえて標高800m前後の大山町中ノ原スキー場、伯耆町桝水高原スキー場で測定したが、放射線量に値は認められなかった。

三朝温泉の放射線量
三朝温泉はラジウムおよびラジウムがアルファ崩壊したラドンが含まれており、世界でも有数の放射能泉である。
また一部の旅館には高濃度のトロンを含む温泉もある。源泉中のラドン量について683.3マッヘの記録がある。
以上により、高いホルミシス効果が認められ、観光客だけでなく療養目的で訪れる湯治客も多いとされる。
温泉街周囲の放射線量を測定したが、明らかな値は認められなかった。

人形峠の放射線量
人形峠には1955年に発見されたウラン鉱床がある。
一時はウラン濃縮原型プラントも建設され、盛んに国産資源活用の道も探られた。
しかし、品質が低く採算に合わないため、採掘は中止。2001年にはウラン濃縮原型プラントも閉鎖。
閉山までに採掘された鉱石は約9万トンで、濃縮され取り出されたウランは84トンであった。
それらは燃料に加工され純国産燃料として昭和54年の出荷を手始めに日本各地に出荷され、主に実験などに利用された。現在は日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センターが開設され、研究が行われている。
人形峠のウラン探鉱活動で生じた残土は、2008年4月から日本原子力研究開発機構によってレンガに加工され、2010年12月13日までに約145万個が製造された。
一般向けには「人形峠製レンガ」として販売している。このレンガにはごく微量のウランが含まれているが、レンガの放射線量は平均0.22μSv/hで花崗岩と同じ程度のため安全としており、現在までに各地で花壇や歩道の整備などに使われている。
人形峠周囲の放射線量を測定したが明らかな高値は検出されなかった。



7月12日 湯梨浜町でセシウム検出
鳥取県の発表
鳥取県衛生環境研究所(湯梨浜町)の屋上で採取した大気中の粉じんから、放射性物質のセシウムが検出されたと発表した。
ごく微量で健康に影響は無いという。
県は、東京電力福島第一原発から放出された可能性が高いとしている。
4〜6月までに延べ12日間採取し、1立方メートルあたり0・027ミリベクレルのセシウム134と、0・025ミリベクレルのセシウム137が検出された。
県によると、原発施設外の空気中の上限のそれぞれ100万分の1程度だったという。
県内では今年3月から3カ月連続で、雨などの累積降下物から微量のセシウムが検出されている。
7月18日、湯梨浜町道の駅「はわい」 駐車場および周囲の植え込みの放射線量を測定したが、明らかな異常値は検出されなかった。

参 考
   
実効線量 内訳
0.16μSv/h   1時間に自然環境から人が受ける放射線の日本国内平均。
0.28μSv/h   1時間に自然環境から人が受ける放射線の世界平均。
0.39μSv/h   一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度(1mSv/年:ICRPの勧告)と、世界平均自然放射線(2.4mSv)の和の1時間当たりの平均値。{(1000+2400)÷365÷24}

 
3.84μSv/d   1日に自然環境から人が受ける放射線の日本国内平均。
6.63μSv/d   1日に自然環境から人が受ける放射線の世界平均。



参考資料
「知っておきたい放射能の基礎知識」 (株 ソフトバンククリエイティブ 2011 斉藤勝裕)
「放射線の影響が分かる本」 (財団法人放射線影響協会)
「核災害に対する放射線防護」 (医療科学社 2005 高田純)
「原発事故緊急対策マニュアル」 (合同出版 2011)


「新編教養物理学」 (学術図書出版社 1985 原島鮮 )
「チャート式シリーズ 新物理II」 (数研出版 1978 力武常次)

「歯科X線撮影における件数および集団線量の推定 1989年」
   (歯科放射線 1991;31.285−295.丸山隆司,岩井一男,馬瀬直通,他)

「X 線診断による臓器・組織線量,実効線量および集団実効線量」 
   (RADIOISOTOPES.1996;45.761−773 丸山隆司,岩井一男,西澤かな枝,他)

Wikipedia 「放射線障害」