米子市周辺における放射線測定の目的および材料と方法

このたびの東北関東大震災により,甚大な被害を受けられた全ての皆様に,心よりお見舞い申し上げます。
また被災地において,懸命に救援活動にあたっておられる関係の皆様に感謝と敬意を表します。


ガイガーカウンター(デジタル放射線測定器 放射線測定器 線量計)SW83




▲放射線測定器▼ストロンチウムからのベータ線にも対応、RAD-35 ガイガーカウンター







 



放射線測定の目的
2011年3月11日14時46分、東北・関東地方をマグニチュード9.0の大地震が襲いかかった。
これにより、東北地方を中心に死者・行方不明者計2万人以上にのぼる甚大な被害が発生し、さらに東北地方では、福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質漏れという二次被害がもたらされた。

これを機に、原子力災害に対する関心が大いに高まったと思われる。
鳥取県米子市も、近隣30kmのところに島根原発が控えており、原発に対する安全神話が崩壊した今、万が一に備え知識と情報および平時のデータを整えておくことが、私たちに与えられた大きな課題であるとも考えられる。

以上のような経緯で、米子市近隣の放射線量を測定し、少しでも不足の事態に備えたいとの思いから、以下の目的で検索を行った。

放射線量測定の目的
 @福島第一原子力発電所事故の影響についての検索
     現在、原発より避難区域指定20キロ、屋内避難区域20キロ30キロ圏内とされている。
     しかし放射線の強さは風向きに大きく左右されるという見解もある。
     また偏西風によって、放射能は地球規模で拡散し、2週間で地球を1周するという説もある。
     そうであるならば、鳥取県も高濃度の放射性物質が検出される可能性を否定できない。
     その検索を行うため各地の放射線量測定を行うこととした。
     
 A米子市周辺の自然放射線量の検索
     地理的には、福島原発の放射性物質が米子市周辺に届いている可能性は高いとは思われない。
     その場合、あらためて平常時の自然放射線量を測定し、有事に備えたいと考えた。



材料と方法
測定器材
  @DP802i
製造元
  中国製(Shanghai ergonomics detecting instrument Co.ltd)

検出器
  GM計数管(ガイガーカウンター)

測定線種 測定範囲
  β線、γ線、X線 (40KeVー1.5MeV)
  線量等量率 (0.01μSv−150mSv)    累積線量等量 (0.00μSv−999.99mSv)   
         

Aマイドーズミニ PDM−117
製造元
  日本製(アロカ株式会社))

検出器
  PN接合形シリコン半導体検出器

測定線種 測定範囲
  γ線、X線 (20KeV以上)
  累積線量等量 (1μSv−9999μSv)   
   

測定方法
  @線量率 累積線量の測定(β線、γ線、X線の検出)
  DP201iを用いて線量率(μSv/h)の計測を行った。
  観測地点の地面に1分間DP201iを接地させ、その間の最高値と最低値の中央値を測定結果とした。


A累積線量の測定(γ線、X線の検出)
  累積線量の検出にはアロカ社製PDM117を併用した。



測定結果
  詳細は次項、「測定結果」



参 考
   
実効線量 内訳
0.16μSv/h   1時間に自然環境から人が受ける放射線の日本国内平均。
0.28μSv/h   1時間に自然環境から人が受ける放射線の世界平均。
0.39μSv/h   一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度(1mSv/年:ICRPの勧告)と、世界平均自然放射線(2.4mSv)の和の1時間当たりの平均値。{(1000+2400)÷365÷24}

 
3.84μSv/d   1日に自然環境から人が受ける放射線の日本国内平均。
6.63μSv/d   1日に自然環境から人が受ける放射線の世界平均。



参考資料
「知っておきたい放射能の基礎知識」 (株 ソフトバンククリエイティブ 2011 斉藤勝裕)
「放射線の影響が分かる本」 (財団法人放射線影響協会)
「核災害に対する放射線防護」 (医療科学社 2005 高田純)
「原発事故緊急対策マニュアル」 (合同出版 2011)
「ガイガーカウンターガイドブック」 (株ソフトバンククリエイティブ 2011 日本放射線監視隊)

「新編教養物理学」 (学術図書出版社 1985 原島鮮 )
「チャート式シリーズ 新物理II」 (数研出版 1978 力武常次)

「歯科X線撮影における件数および集団線量の推定 1989年」
   (歯科放射線 1991;31.285−295.丸山隆司,岩井一男,馬瀬直通,他)

「X 線診断による臓器・組織線量,実効線量および集団実効線量」 
   (RADIOISOTOPES.1996;45.761−773 丸山隆司,岩井一男,西澤かな枝,他)

Wikipedia 「放射線障害」