「鳥取県米子市周辺における環境放射線量と医療被曝の比較
および歴史地震からみた今後の原子力災害発生の検討について」
鳥取県西部歯科医師会 八尾正己 高野洋寿
2012−2−25 於 鳥取県西部三師会
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東北関東大震災からまもなく1年が過ぎようとしております。
この震災によって日本は大きく変わりました。大きく人生が変わった方も居られます。
私の様に大きくではありませんが、細々といろいろな影響を受けた方も少なくないのではないでしょうか。共同演者の高野洋寿先生もその一人で、この1年、私に引っ張り回され大変では無かったかと思います。
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【目的】 |
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2011年3月11日、東日本大震災により福島第一原発が被災し放射性物質拡散という二次被害がもたらされた。
放射性物質は偏西風によって地球規模で拡散し2週間で地球を1周するという見解もあり、鳥取県でも放射性物質が検出される可能性が懸念される。
加えて、米子市も近隣30kmのところに島根原発が控えており、万が一に備え知識と情報および平時のデータを整えておくことは日常的に放射線を取り扱う歯科医師の責務なのかもしれない。
そこで米子市近隣地域の放射線量を測定するともに、デジタルレントゲンのX線量を測定し比較検討した。
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各国が行っているシミュレーション。
日本政府はスピーディーの情報を公表しませんでしたが、諸外国は早期に情報公開。一番速かったのはドイツ気象局。
その後各国が公表。
左:偏西風で東側に飛散。 右:必ずしも東にだけ飛散しない。
このような経緯の下、今夏のリサーチを行いました。
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【材料と方法】 |
中国製GM計数管DP802iと、日本アロカ社製半導体検出器マイド−ズミニPDM117を使用した。
DP802iを観測地点の地面に1分間接地させ、最高値と最低値の中央値を測定し時間当たりの放射線量とした。
PDM117は累積線量の測定に使用した。
歯科用レントゲンの放射線量は、デンタル撮影では10cmのところから直接照射し、パノラマ撮影では頭部の位置、生殖腺の位置を測定した。 |
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中国製GM計数管β線、γ線、X線を検出。 サーベイメーターとして使用。
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半導体検出器γ線、X線を検出。 モニタリングポストとして使用
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環境放射線量
@放射線量の測定(β線、γ線、X線の検出)
DP201iを観測地点の地面に1分間接地させ、その間の最高値と最低値の中央値を測定結果とした。
A累積線量の測定(γ線、X線の検出)
累積線量の検出には、PDM117を併用した。
歯科用レントゲンの放射線量
@デンタル撮影 10cmのところから直接照射
Aパノラマ撮影 頭部の位置、生殖腺の位置を測定。
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【結果】 |
米子市および周辺地域では明らかに高値な放射線量は検出されず、平均放射線量も自然放射線量の範囲に留まっていた。
唯一高値が観測されたのは航空機搭乗の際であった。
デジタルレントゲンのX線量は従来報告されているアナログ機の概ね1/10であった。
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本来は4月から計測を始めたかった。しかし測定器械の入手が出来なかった。
米子市周辺各地時間線量の平均値は0.11±0.005μSv/hで、概ね0.08−0.14μSv/hの値で変動した。
自然放射線の日本国内平均は年間1.4mSvで、その1時間値である0.16μSv/hを超えなかった。
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米子市周辺各地をPDM117で測定したが、1日平均値は1.03±0.48μSv/日で変動した。
1日に自然環境から人が受ける放射線の日本国内平均は、3.84μSv/日とされており、県内各所での測定値はすべて基準値を下回るものであった。
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DP802iの方が概ね2倍強の測定結果を示した。
その原因は、β線検出能の違いか、測定場所の違いか、計器の検出能の違いによるかは不明。
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高度の高いところでは宇宙から降り注ぐ放射線(宇宙線)を地上にいる時よりも多く受けることになる。
海水面が一番低く0.03μSv/h。1万mで3μSv/h。
国際線のパイロットでは年間3mSvを余分に被曝。飛行経路と飛行時間から米子−東京間の放射線量を測定。
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飛行経路と飛行時間から現在地を推定。往路復路とも、若狭湾上空、浜松上空で2峰性のピ−クを示した。
保安検査機を通すと 1回で5μシーベルト上昇。
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歯科用のデンタルパノラマ撮影において、アナログ機とデジタル機の比較を行った。
図のようにデンタルでは10cmのところから直接照射。
パノラマでは頭部腰部の被曝量を測定。
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測定値は、皮膚線量ということになる。
アナログデンタル≒5.5μSv デジタルデンタル≒1μSv
パノラマ頭部≒100μSv パノラマ腰部≒1μSv
なお、プロテクターエプロンの効果は0。
しかし放射線室のガラスは完全に遮蔽。
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【考察】 |
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今回の原子力災害は、地震・津波→停電→冷却システムの事故→炉心溶融→水蒸気爆発または水素爆発→放射性物質の外部漏洩という経過で起こった。
そこで、今後鳥取県西部地域に津波を起こすような地震が発生する可能性について、地震学および歴史学的見地から以下の項目に従って推測してみたいと考える。
地震について:地震の発生メカニズム 地震予測 地震考古学
歴史地震:山陰地方の歴史地震
津波について:日本海と津波 鳥取県沖の波源断層 山陰地方の津波 鳥取県西部地域と津波
日本および周辺国の原子力発電所
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高線量では明らかな障害が発生。(広島原爆より明らかになっている)
爆心地から500メートル以内での被爆者は98から99パーセントが死亡し、500メートルから1キロメートル以内での被爆者では、約90パーセントが死亡した。しかし低線量では不明な点が多い。
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低線量の放射線量はむしろ健康によいとする説もある。
特に日本、ロシア、オーストラリアでラジウム温泉がある。
賛否両論があるのは、わかっていないから。
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いずれにせよ我々は年間1.4mSvを被曝している。時間に直すと日本平均で0.16、世界平均でも0.28μSV/h。
それで、明らかな健康被害は無いと考えるべき。
さらに年間許容量を足すと0.39μSV/hがその基準となる。今
回の観測地点では全て0.39μSv未満。異常値は航空機搭乗時のみであった。
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しかし福島県では依然高い放射線量が観測されている。
これが将来どのような結果をもたらすのかは不明。
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さて、現在の西日本の環境放射線量は正常。
原発事故は放射線被曝という健康上の問題も生じるが、その他多くの問題を起こす。医学的な問題のみならず、居住制限、食品出荷制限など社会的・経済的な弊害も大きいといえます。
今後、地震による原発事故の可能性はあるのか?もし今後原子力災害が生じるとすれば右の誘因による。
特に地震津波。
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このたびは地震について考察を行いたいと思います。
高校時代に選択した地学T、Uが35年後にやっと役に立ちました。
M6.4以上で津波は発生します。
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地震は、プレート境界、海洋プレート内、大陸プレート内で発生。特に境界で起きる物が大きく勝つ津波を発生させる。日本列島にはいくつかのプレート境界があります。ここで地震は頻発する。
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さてこの地震ですが、現代科学でその欲は極めて困難。
そこで、過去識ってみましょう。
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出雲地震今の揖屋神社付近。
万寿の大津波益田市高津川河口にあった鴨島・鍋島・拍島の陥没および石見の海岸地域の隆起・沈降などの地変が起こり,高津川・益田川下流域および江川下流域に大津波が襲来して大被害を与えた。
地震の規模Mは7.6,津波の規模mは3程度と推定された。
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日本海では津波は発生しないという俗説がある。
これはプレート境界が日本海には無いと思われていたから。
しかし北米プレートとユーラシアプレートの境界は北日本にあり。
よって北部日本海でも津波は起きる。参考:北サハリン地震1995 Mw7死者2000人。
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島根県は1月25日、新潟県佐渡島の北から秋田県沖にかけての想定震源域でマグニチュード(M)7・85の大地震が発生した場合、隠岐諸島や島根半島の一部で10メートル前後の津波が到達するとの予測を公表した。
県は最大4メートルとしてきた現行の県地域防災計画の大幅な見直しを迫られる。
(1) 万寿 3 年 1026 年 石見地方沿岸に大被害 津波は大田市まで及ぶ可能性あり
(2) 寛保1 年 1741 年 江津で波高1〜2m
(3)天保4 年 1833 年
隠岐で波高2〜2.6m
(4)明治5 年 1872 年 浜田地震 津波は大田市から浜田市にかけて認められたが被害記載は少ない。
(5)昭和15 年 1940 年 隠岐で津波の高さ1.5m
(6)昭和39 年1964 年 新潟地震 床下浸水1、水田冠水10ha
(7)昭和58 年1983 年 昭和58 年日本海中部地震(秋田県西方沖) 隠岐、島根半島を中心に被害 浜田市まで津波が到達する。
(8)平成5 年 1993 年 平成5 年北海道南西沖地震(北海道南西沖)隠岐、島根半島を中心に被害
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Mw6以上の地震で津波は起こる。鳥取県沖にも海域活断層あり、津波発生の可能性あり。
又、佐渡島近海で大きな地震が起こった場合、鳥取県にも10m前後の津波がくる可能性を島根県が発表。
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又、佐渡島近海で大きな地震が起こった場合、鳥取県にも10m前後の津波がくる可能性を島根県が発表。久米神社 赤猪岩神社 阿古社としては、檀萱神社 宗像神社 八幡神社 大神山神社冬宮 三輪神社上津守神社 壱宮神社など。
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核反応は起こらないが、稼働していなくても放射性物質はそこに存在し続けるという事実。
当時、柏崎刈羽原発6号機、北海道電力泊原発3号機のみ稼働。
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韓国は東京電力技術社の引き抜きを行っているというニュース。
中国は脱原発宣言をした西欧、特にドイツ技術者を、引き抜き。
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日本列島は、プレートの境界に囲まれている。
以上から、今後新たな原子力災害が発生することを否定は出来ない。
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チェルノブイリ事故での死者は数十名と言う見解もあれば数千名という説もある。
しかし統計的には悪性疾患は増加している。
だがこれと放射線との因果関係も不明と言わざるを得ない。
福島第一原発の事故を、真摯に科学的データとして整理し、またしっかりと歴史に残すべきが責務。
低線量につていては不明の部分も多く、データはまだ不十分であるが、個人的見解としては、妊婦と子供には避けさせたいと思われます。
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当時の政府は情報を完全に公開しなかった。
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参考資料 |
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「知っておきたい放射能の基礎知識」 (株ソフトバンククリエイティブ 2011 斉藤勝裕)
「放射線の影響が分かる本」 (財団法人放射線影響協会)
「核災害に対する放射線防護」 (医療科学社 2005 高田純)
「原発事故緊急対策マニュアル」 (合同出版 2011)
「必修放射線医学」 (南江堂 1999 高橋睦正)
「歯科放射線学」 (医歯薬出版 1982 古本啓一)
「Radiation Dose Associated With Common Computed Tomography Examinations and the Associated Lifetime Attributable Risk of Cancer」
ARCH INTERN MED/VOL 169 (NO. 22), DEC 14/28, 2009
Rebecca Smith-Bindman, MD; Jafi Lipson, MD; Ralph Marcus, BA; Kwang-Pyo Kim, PhD;
Mahadevappa Mahesh, MS, PhD; Robert Gould, ScD; Amy Berrington de Gonza´ lez, DPhil; Dian a L.Miglioretti, PhD
「歯科X線撮影における件数および集団線量の推定 1989年」
(歯科放射線 1991;31.285−295.丸山隆司,岩井一男,馬瀬直通,他)
「X 線診断による臓器・組織線量,実効線量および集団実効線量」
(RADIOISOTOPES.1996;45.761−773 丸山隆司,岩井一男,西澤かな枝,他)
「地震の日本史」 (中公新書 2007 寒川旭)
「地震考古学―遺跡が語る地震の歴史」 (中公新書 1992 寒川旭)
「遺跡で検出された地震痕跡による古地震研究の成果」 (活断層・古地震研究報告,No1,p287-300,2001 寒川 旭)
「大田市周辺における万寿大津波に関する記載資料と現地視察報告」 (畑 和宏)
「山陰地域の地震活動」 (鳥取大学工学部研究報告第38巻 2007 西田 良平)
「岩波地球科学選書 地震の物理」 (岩波書店、1991 金森博雄)
「地震学 第3版」 (共立出版、2001 宇津徳治)
「詳しい地学の新研究」 (洛陽社 2003)
「ニューステージ地学図表」 (浜島書店 2003)
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